『戦後自閉症児教育研究資料集』全3巻、
クロスカルチャー出版、2023年11月

ここ15年ほど、発達障害ブームと言われています。本園ではインクルーシブ保育を目指していますが、定型発達の幼児とのコミュニケーション関係の形成には、いまだ悩み、苦しんでいます。
自閉症の本態についてはいくつかの仮説は提示されていますが、まだわかっていません。そもそも自閉症はその概念規定からさまざまな変遷をたどっており、初期には統合失調症の早発型、親の育て方、言語認知の障害等さまざまな原因が報告されました。社会性の障害、想像力の障害などをもたらす脳障害とは何か、神経生理学的な研究が進んできていますが、まだ混とんとした状況です。自閉症は定型発達とスペクトラムですから、明確な線引きはできません。社会の理解が進めば、彼らの生活上の生きにくさも改善していくはずです。本園では保護者と連携しながら、取り組んでいきます。
自閉症についてわが国の研究史を俯瞰することで、自閉症の理解と対応が進むことを期待しています。